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院長コラム

Column

診療かばん第2回「乳腺症」

2021年(令和3年)、あけましておめでとうございます。
まだまだ、寒い季節が続きます。コロナ対策をしながら、この冬を乗り切っていきましょう。
今回は、乳腺症のお話です。

皆様は、乳房の不快感や痛みで不安になったことはありませんか?
よくある乳房の痛みの原因として、「乳腺症」があります。乳房痛を生じる乳腺疾患としては、ほかに「乳腺炎」や「乳房腫瘤」などがあります。
また、乳腺症では乳房にしこりを自覚したり、乳汁分泌を生じたりもします。

今回は、乳腺症に関してお話します。

乳腺症とは…

なりやすい年齢

30~50歳代という女性ホルモン分泌が盛んな時期によく見られます。閉経後に乳腺症になることは少ないです。

どんな症状?

両側乳房の張り感、痛み、全体に乳腺が硬くなるといった症状が多いですが、片側だけに痛みを感じる方もいます。しこりを訴えて来院される方もいます。

なぜ生じるか?

女性ホルモンのバランスが崩れることで生じます。乳腺症は卵巣から分泌されるホルモンの影響で、乳腺細胞が増えたり減ったりして生じると言われています。
卵巣からは、エストロゲン(女性ホルモン)と、プロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されていますが、このうちエストロゲン(女性ホルモン)の相対的な増加が乳腺症の原因ともいわれています。
エストロゲンは母乳を運ぶ乳管を増やしたり、乳管の周囲にある血管や神経のある間質にも作用します。プロゲステロンは腺房を増やします。
エストロゲンの量が増えると、乳腺や乳管が増殖したり肥厚します。また周囲の間質内の血流が増加し、血管が拡張することで、血液がうっ滞気味となり、乳房全体が張ることで痛みを感じたり、全体に硬く感じたり、部分的に硬くなるとで「しこり」のように触れたりすることもあります。

どんな時に痛みがでる?

乳腺症の症状は月経周期と関係していることも多く、月経前に強く症状を感じることがあり、月経が終了すると症状が楽になってくることが多いです。しかし、月経周期と関係のない痛みを訴える方もいます。閉経後には症状は少しずつ消えていくことが多いです。

乳腺症と乳がん

乳腺症は多くの場合、乳がんとは関係がありません。
乳腺症の症状は、ほとんどのケースで自然に軽快していくため、過度な心配は必要ないでしょう。
しかし、乳腺症の生じる年齢は、乳がんの好発年齢と近い時期なので、慎重に十分な検査を受ける必要があります。 特に乳腺症によりしこりが生じている場合には、そのしこりが乳腺症によるものなのか、乳がんによるものか区別がつきません。また、将来乳がんを発症させるリスクが少し高い病変が隠れていることもあります。
なので、定期的に、マンモグラフィと超音波検査の画像検査を受けることをおすすめいたします。

乳腺症の治療

乳腺症と診断された場合、基本的に治療は必要ありません。自然に症状が改善することも多いからです。
しかし、痛みが強く日常生活に支障がでるような場合には、痛みや張りが強いときに「鎮痛剤」を使用したります。かなり症状が強い場合は、乳腺に作用するホルモンをブロックする薬剤を使用することもあります。

桂枝茯苓丸、加味逍遙散、当帰芍薬散といった漢方薬で乳腺症の症状が軽減したという報告もあり、乳腺内に病変がなく乳腺症と診断された場合は、漢方薬を試してみるのも良いかもしれません。
当クリニックでも、患者さんと相談しながら処方を決めております。

乳腺症と診断されたら

乳腺症と診断されたら、治療はいりませんが、半年から1年ごとの定期的な診察・検査を受けるようにしてください。また、しこりを触れるが画像診断で乳腺症とされた場合は、通常より回数を増やして受診をお願いすることもあります。
いずれにせよ、自己判断は禁物です。乳腺症は乳がんと紛らわしいことがあります。乳腺症と診断されたから大丈夫だろうと思わずに、定期的な診察や検診を受けることで、ご自身の健康を守るようにしましょう。

山上 良院長
記事監修
院長 山上 良

大阪市立大学医学部卒業。
日本外科学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、乳がん検診マンモグラフィ読影認定医、乳がん検診超音波検査実施・判定医、日本癌治療認定医機構癌治療認定医。

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