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院長コラム

Column

マンモグラフィと超音波検査どちらが有効?


10月も20日を過ぎて、朝晩に冷え込むようになってきましたね。

皆様も体調管理に、お気をつけてお過ごしください。

「しこり」や「痛み」など乳腺に症状があって外来を受診される方や「乳がん検診」を希望で来院される方から、「マンモグラフィと超音波検査では、どちらを受けるほうがいいですか?」と質問を受けることも多いです。

結論から言いますと、上記の2つの検査を同時に受ける事をおすすめします。

 「スクリーニングマンモグラフィ、身体検査、および乳房USのパフォーマンスの比較と、それらに影響を与える要因の評価:27,825人の患者評価の分析」という題で、Kolb.TMらが、2002年にRadiology で発表した文献を参考にしながら説明します。

 この研究では乳がん検診において、乳房の構成(乳腺の密度)により検出率がどのくらいであったか調べています。

 

脂肪性乳房、乳腺散在性乳房など乳腺の密度が低い乳房では、マンモグラフィによる乳がんの検出率は、

脂肪性:98%乳腺散在性:83%と良好な成績を示していますが、 乳腺密度の高い、不均一高濃度乳腺や極めて高濃度な乳腺(デンスブレスト)では検出率は極端に低下します。 不均一高濃度:64%極めて高濃度(デンスブレスト):48% となります。

 

デンスブレスト対策ワーキンググループ調査では、日本における乳房の構成比率を以下のように報告しております。

脂肪性:4.7%  

乳腺散在:57.1%

不均一高濃度:36.1%

極めて高濃度(デンスブレスト):2.1% 

以上から計算すると、

マンモグラフィによる乳がん検出率は、およそ、全体で76.1%となります。

 

 一方、超音波検査では、どの乳腺濃度でも80%前後の検出率を示しています。

マンモグラフィと超音波検査を併用すると、乳腺散在例では100%、高濃度乳腺でも94%の検出率であったと報告されております。

わが国における40歳から69歳までの女性では不均一高濃度および高濃度乳房の割合は43%、また40歳代では60%を占めるという報告もあります。

そのため被ばくの心配がなく乳腺密度の高い症例でも腫瘤などの検出率が高い超音波検査を併用する方が有用と考えます。

超音波検査でも検出できない乳がんが20%前後あります。超音波検査は、腫瘤(しこり)を作らないような乳がん、すなわち微細な石灰化を形成するような乳がんの検出能力には

劣ります。微細な石灰化を検出する能力はマンモグラフィの方が優れています。

以上のことから、がん検診や乳腺外来での検査では、マンモグラフィと超音波検査を併用する事をおすすめいたします。

当院では横浜市乳がん検診受診の際に、オプションで超音波検査も追加できるようなシステムも運用しております。

また、横浜市乳がん検診の最終判定をお知らせする時に、受診した皆様に乳房の構成を当院オリジナルの用紙にてお伝えしております。

 

皆様方には、定期的な乳がん検診の受診や、「しこり」や「痛み」、「分泌」「違和感」など

乳腺の異常が気になった際には、早めに乳腺外来を受診する事をおすすめいたします。

 

山上 良院長
記事監修
院長 山上 良

大阪市立大学医学部卒業。
日本外科学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、乳がん検診マンモグラフィ読影認定医、乳がん検診超音波検査実施・判定医、日本癌治療認定医機構癌治療認定医。

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