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院長コラム

Column

食事と乳癌の関係


「乳がんになりやすい食べ物」あるいは「乳がんになりにくい食べ物」ってあるのかな?

そんな疑問をお持ちの方も多いかと思います。

日本の欧米化も乳がん患者さんの増加要因ともいわれています。

食べる楽しみは人生の中でも大切にしたい時間ですね。心配しながら食事をすると、 せっかくの美味しい食事も楽しく味わえなくなります。

ということで、今回は、食事と乳がんの関係に関して少しお話をしていきたいと思います。

 

 

1.乳製品と乳がん

乳製品はなんとなくリスク増加がありそうな印象もありますよね。

結果は、乳製品や牛乳の接種は乳がんの発症リスクは現症する可能性が示されています。欧米の研究では約15%減少、アジアの研究報告では約26%のリスク低減も示されています。

乳製品の種類では、無脂肪乳やヨーグルトでリスク低減の報告があります。

ただし、過去の研究では高脂肪性乳製品の摂取ではリスクの増大の可能性

を示した報告例もあります。 リスク低減や増大の目安の量となる摂取量は示されていません。

 

2.緑茶と乳がん

緑茶の主成分であるカテキンには、乳がん細胞の増殖を抑える効果があることはわかっています。では緑茶と乳がんのリスクの関係はどうでしょうか?

緑茶が乳がんの発症リスクを減少させるかどうかは結論付けられないとされています。

 

3.大豆食品・イソフラボンと乳がん

日本人が欧米の女性より乳がん発症率が低い要因に、日本人は豆腐・納豆・みそ汁などイソフラボンを多く含む食事をしている点があげられることがあります。

 

大豆、イソフラボンには、抗エストロゲン作用があるので、それらの摂取が乳がんリスク低減の可能性が示唆されています。

2003年の研究では、毎日みそ汁を3杯以上摂取する人は1杯以下の女性より約40%程度リスクが低かったと報告があります。

 

ただし、サプリメントによりイソフラボン摂取での乳がん発症リスクの低減は証明されていません。また、高濃度イソフラボン摂取による乳がん予防効果や安全性に関する証明がないので、厚生労働省は、イソフラボンサプリメントの摂取は1日30㎎以下を勧めています。

 

 

4.アルコール飲料と乳がん

アルコール飲料の摂取は閉経前では乳がん発症を増加させる可能性が示されています。また閉経後ではアルコール飲料の摂取は乳がん発症リスクを増大させるのは、ほぼ確実とされています。ただし、日本人対象の研究は少なく、データ不十分という報告もあります。

アルコール摂取による乳がんリスクの増大は、「用量反応関係は明瞭」とされているので飲酒量の閾値はしめされていません。

 

 

以上、乳製品・緑茶・大豆製品・アルコールと乳がん発症のリスクを見てきました。

所説ありますが、一般的に食べすぎ、飲みすぎやバランスの悪い食生活は良くないことです。

例えば、乳がんのリスクを下げるからといって、みそ汁を大量に摂取したら塩分摂取過剰となり、他の疾患のリスクが上がるかもしれません。

 

ですので、食べ過ぎないこと・飲みすぎないこと・食品バランスに気を付けること、これらを念頭においておけば、好きなものを楽しく食べる食生活を送るのが、人生にとっての幸せと考えます。

食生活の注意だけで、乳がんの予防にはなりませんので、定期的な検診や、症状がある場合の早めの受診が大切なのは言うまでもありません。

 

次回は、生活習慣と乳がんに関してお話をしようと思います。

山上 良院長
記事監修
院長 山上 良

大阪市立大学医学部卒業。
日本外科学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、乳がん検診マンモグラフィ読影認定医、乳がん検診超音波検査実施・判定医、日本癌治療認定医機構癌治療認定医。

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