乳がん術後の経過観察
乳がん術後の経過観察

乳がんの治療は、手術が終わった後も継続して経過観察を行うことが非常に重要です。
乳がんは手術後5年以内に再発や転移が起こりやすいとされており、再発がないかを定期的にチェックすることで、もし異常が見つかった場合でも早期に対応できる可能性が高くなります。
また、手術を受けた乳房や反対側の乳房にも新たにがんが発生するリスクがあり、術後も引き続き両側を観察する必要があります。
当院では、マンモグラフィや乳腺超音波検査、腫瘍マーカーを含む採血検査を組み合わせて、再発や新たな乳がんの早期発見に努めています。
術後の経過観察を怠ると、以下のようなリスクが高まります。
定期的な経過観察は、これらのリスクを最小限に抑えるために欠かせません。
乳がんは、手術後5年以内に再発するケースが比較的多いといわれています。
再発が起こった場合でも、早期に発見できれば治療の選択肢が広がり、予後(治療後の経過)が大きく改善します。
しかし、定期的に検査を受けていないと、しこりや体調の変化など症状がはっきり出てから気づくケースが多く、がんが進行した状態で発見されることになります。
その結果、治療がより複雑になり、身体への負担も大きくなります。
乳がんは、骨・肺・肝臓・脳などに転移しやすい特徴があります。
特に肝臓は、転移があっても自覚症状がほとんど出ず、血液検査でも異常が表れにくい臓器です。
症状や数値の変化だけでは発見が難しいため、腹部超音波検査やCT検査、PET検査など画像検査による確認が不可欠です。
経過観察を怠ると、転移がかなり進行してから初めて気づくこともあり、治療が難航する原因となります。
乳がん経験者は、もう一方の乳房にも新たに乳がんが発生する可能性が高いことが知られています。
これは「二次乳がん」や「対側乳がん」と呼ばれ、手術後も継続した両側のチェックが必要です。
定期的なマンモグラフィや乳腺超音波検査を行うことで、新たな乳がんを初期段階で発見し、早期治療につなげることが可能になります。
当院では、患者様の状態によりますが、原則1年に1回のマンモグラフィ、3~6か月毎の超音波検査(乳腺や腹部超音波)、腫瘍マーカーを含む採血を行い、定期的なフォローアップを行っています。 当院では、乳腺の超音波に加えて、必要に応じて腹部超音波検査も経過観察に組み込んでおります。 なぜ、腹部超音波検査と思われるかもしれませんが、乳がんの転移先として多い臓器の一つが肝臓です。症状や検査数値の変化も出にくい臓器ですので、当院では、転移のリスクが高そうな方(治療開始時点で乳がんが進行していた方、手術で腋窩リンパ節に転移があった方など)や、経過観察中に肝機能が上昇してきた方などを対象に年1回腹部超音波検査を行い、フォローアップにつとめております。手術から5年以上再発や転移なく経過した患者様は、検査は半年から1年に1回、マンモグラフィ検査、超音波検査、血液検査を行っています。(マンモグラフィは原則年1回です)
| 検査内容 | 検査頻度 | 補足 |
|---|---|---|
| マンモグラフィ | 年1回 | 乳房の構造変化や再発の確認 |
| 乳腺超音波検査 | 3〜6か月ごと | しこりや再発の早期発見 |
| 腹部超音波検査 | 年1回 | 乳がんが転移しやすい肝臓を確認 |
| 採血(腫瘍マーカー含む) | 3〜6か月ごと | 再発や転移の早期発見 |
| 検査内容 | 検査頻度 | 補足 |
|---|---|---|
| マンモグラフィ | 年1回 | |
| 乳腺超音波検査 | 年1~2回 | |
| 腹部超音波検査 | 年1回 | 必要な場合 |
| 血液検査 | 年1~2回 | 腫瘍マーカー含む |
PET(Positron Emission Tomography「陽電子放出断層撮影」)やCT・MRI検査は再発が疑われた場合に行うようにしております。それは被曝の問題もありますし、再発症状が認められてからPETやCT・MRIを行っても予後が変わらないというデータがあるからです。
しかし、患者様からご希望があれば提携施設等で検査を受けてもらい、結果を当院でお伝えするようにしております。
当院では、乳がん術後の再発予防と長期的な経過観察を目的に、ホルモン療法(術後内分泌療法)を中心に行っております。
ホルモン療法は、閉経前・閉経後で使用する薬剤の種類が異なり、5~10年という長期にわたる内服が必要となる治療です。
ホルモン療法には、hot flash(ホットフラッシュ)と呼ばれるのぼせの症状や関節痛などの副作用が出ることがあります。
当院では副作用の程度を確認しながら、薬剤の種類や投与量を調整するなど、少しでも患者様が快適に術後の治療を継続できるように努めています。
治療初期は、患者様の体調や副作用の変化をしっかり把握するため、1か月ごとの処方と診察を基本としています。
内服が安定してきたら、処方期間を徐々に延ばし、通院負担を軽減いたします。
なお、点滴による抗がん剤治療は当院では行っておりません。
抗がん剤が必要と判断された場合は、連携している基幹病院や乳腺専門医が在籍する施設へ速やかに紹介し、患者様が安心して治療を受けられる体制を整えています。
当院では、術後の患者様が安心して長期的に経過観察を続けられるよう、以下の取り組みを行っています。
当院では、乳がんを診断後、手術や抗がん剤治療・放射線治療が必要な場合は連携病院をご紹介します。
その後、治療がひと段落した段階から、当院での定期的な経過観察をスタートいたします。
術前から術後、さらに術後のフォローアップまで一貫して関わることで、患者様が安心して治療を受け続けられる診療を行っております。
また、他院で手術を受けた方の経過観察も積極的に受け入れております。
遠方から引っ越されてきた方や、大きな病院への通院が難しい方も、気軽にご相談ください。
地域のクリニックならではの通いやすさを活かし、患者様が無理なく継続できる診療を行っております。
当院ではクリニックの性質上、転移や再発が確認された場合の継続治療は行っておりません。
しかし、定期検診で転移や再発が疑われた場合は、速やかに乳腺専門医のいる医療機関と連携し、適切な治療へつなげます。
異常を見逃さず、次のステップにスムーズに移行できる診療を心掛けております。
乳がんは長期的な経過観察が必要な疾患です。
当院では「普段の生活を大切にしながら、必要なときに安心して受診できる」ことを重視しています。
これにより、術後も安心して生活を続けながら、適切なフォローアップを受けていただけます。
乳がん術後の経過観察を安全に行うため、以下の点にご注意ください。
再発や転移は、初期段階では自覚症状が出ないことが多くあります。
「体調が良いから大丈夫」と自己判断せず、症状がなくても定期的に検査を受けることが重要です。
画像や採血の結果は、専門医が総合的に判断します。
異常がなくても、今後のリスクや注意点について説明を受けるため、結果説明には必ず来院してください。
しこりの出現、乳房の変形、骨の痛み、咳や息切れ、倦怠感などが続く場合は、次回の検査を待たずに受診してください。
転移や再発の早期発見につながります。
複数の医療機関で検査や治療を受けている場合は、結果や治療内容を当院でも共有できるよう、紹介状や検査結果のコピーをご持参ください。
スムーズな診療と重複検査の防止につながります。
術後5年間は再発リスクが特に高いため、予定された検査日を守ることが大切です。
やむを得ず日程変更をされる場合は、必ず早めにご連絡ください。
TOP