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院長コラム

Column

乳がんを知ろう:その④サブタイプ分類とは・・・


 

今回のタイトルである「サブタイプ分類」とは「乳がんの治療方針決定に必要な性質」を表します。

乳癌の治療方針を決定する要素は、腫瘍の大きさやリンパ節への転移の有無だけではありません。

ホルモン感受性(女性ホルモンの刺激で乳がんが成長するかどうか)、HER2蛋白が増加していないか

どうか。増殖因子の状態はどうか、核異型度がどうなのかも指標となります。

 以下の項目が治療方針決定に必要な項目となります。

 

  ・しこりの大きさ(特に浸潤がんの部分の大きさ)

  ・腋窩(わきの下)のリンパ節の転移

  ・ホルモン感受性(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体の状況)

      エストロゲン受容体:ERともいいます。プロゲステロン受容体:PgRともいいます

  ・HER2蛋白増殖の有無

  ・増殖因子(Ki-67)の数値

  ・核異型度

 

また、腋窩リンパ節転移が4個以上、ホルモン感受性が陰性、HER2蛋白が陽性の場合、化学療法は必須です。また、グレードが3の場合も化学療法が考慮されます。

 上記のように、ホルモン感受性、HER2蛋白の有無、増殖因子などを考慮して乳がんを分類する方法を、乳がんのサブタイプ分類と言います。

 

最近では、ホルモン感受性、HER2タンパク、Ki67などの要素で生物学的サブタイプにグループ分けして

治療方針を立てるという考え方が一般的です。

 このように治療方針決定に必要な性質で重要な因子が「生物学的サブタイプ分類」です。

 

 どのように分類するか…

   下の図に示すように5つのタイプに分類します。

Luminal A(ルミナールA)タイプ ER陽性 PgR陽性 HER2:陰性 Ki-67低値
Luminal B(ルミナールB)タイプ ER陽性 PgR(陽性or陰性) HER2陰性 KI-67高値
Luminal HER2(ルミナール ハーツー)タイプ ER陽性 PgR(陽性or陰性) HER2陽性
HER2(ハーツー)タイプ  ER陰性  PgR陰性   HER2陽性
トリプルネガティブタイプ  ER陰性   PgR陰性  HER陰性

 

・Luminal A(ルミナールA)タイプに分けられる患者さんは、基本的に内分泌療法(ホルモン療法)が有効で、化学療法の必要がないことがわかっています。手術を先行します。

・Luminal B(ルミナールB)タイプに分けられる患者さんは、内分泌療法(ホルモン療法)がある程度有効ですが、内分泌療法だけでは不十分な可能性があります。リンパ節転移や組織学的グレードなどの要素を考慮して、化学療法を追加する必要があります。

・Luminal HER2(ルミナール ハーツー)タイプの患者さんは、化学療法とハーセプチンによる分子標的療法が必要です。場合によって、術前化学療法を先行します。 

・HER2(ハーツー)タイプに分けられる患者さんは、ハーセプチンが非常に有効で、原則として化学療法とハーセプチンによる分子標的療法を組み合わせて行います。この場合、術前から化学療法とハーセプチンによる分子標的療法を行い、術後にもハーセプチンを9ヶ月行うことが多いです。

・TN(トリプルネガティブ)タイプに分けられる患者さんには、化学療法が必須です。トリプルネガティブタイプの場合、ほぼ全ての患者さんが術前または術後に化学療法を受けます。

山上 良院長
記事監修
院長 山上 良

大阪市立大学医学部卒業。
日本外科学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、乳がん検診マンモグラフィ読影認定医、乳がん検診超音波検査実施・判定医、日本癌治療認定医機構癌治療認定医。

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