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院長コラム

Column

乳がんを知ろう(その②)乳がんの分類と病期(ステージ)

  • 投稿日 2021年4月12日
  • 更新日2021年6月3日
  •          
  • 乳がん

 

【乳がんの分類】

がんを分類するのは重要な意味があります

 がんを分類することは、手術方法や治療法を決めるのに必要となるからです。

 特に浸潤癌は下記のような分類を行って治療方針を決めていきます。

  ①組織型(乳がんの組織構造と特徴による分類)

  ②病期分類(ステージ):乳癌の進行度での分類

  ③サブタイプ:乳がん細胞に遺伝子の特徴で分類

 

 例として

  浸潤癌は以下のように分類されます

  浸潤癌:浸潤性乳管癌 と 浸潤性小葉癌など特殊形に分けられます。

 

 浸潤性(一般的なタイプと特殊型があります)

 一般的なタイプ:

  旧規約の分類:乳頭腺管癌 充実腺管癌 硬癌

  新規約の分類:

   乳頭腺管癌→腺管形成型 tubule forming type

          充実腺管癌→充実型:solid type

   硬癌  →  硬性型 scirrhous type

特殊なタイプ:粘液癌、アポクリン癌、浸潤性微小乳頭癌など

 

【乳がんの病期分類】

病期分類は術式や治療方針を考える上で重要です。かつては、進行度のより切除範囲が広くなることもありましたが、現在は病期だけで治療方針は決まりません。

 

病期分類(Stage分類とも言います)

手術や薬物療法を開始する前に病気を決定します。その定義が以下に示してあります。  0~ⅢC期までは遠隔転移はありません。 Ⅳ期は遠隔転移、つまり乳腺以外の他の臓器への転移があります。乳がんは骨転移、肺転移、肝臓への転移、脳転移などが多いです。その他に様々な臓器に転移する可能性がある疾患なので早期発見が必要なのは言うまでもありません。

 ・病期は乳がんの性質、大きさ、周囲への広がり具合、リンパ節の状態を考慮して決定します。

 0期 非浸潤癌(遠隔転移を生じない乳がん) Tisと表記されることもある。
 Ⅰ期 2.0㎝以下の乳がん  腋窩リンパ節転移なし
ⅡA期 ①   2.0㎝より大きく5.0㎝以下の乳がん / 腋窩リンパ節転移なし

②    2.0㎝以下の乳がん / 腋窩リンパ節転移あり

ⅡB期 ①    2.0㎝より大きく5.0㎝以下の乳がん  腋窩リンパ節転移あり

②    5.0㎝より大きい乳がん       / 腋窩リンパ節転移なし

ⅢA期 5.0㎝より大きい乳がん  /腋窩リンパ節転移あり  
ⅢB期 しこりの大きさに関係なく、がんが筋肉、皮膚などに広がっている
ⅢC期 しこりの大きさに関係なく、腋窩リンパ節、胸骨付近や鎖骨付近のリンパ節に転移がある
Ⅳ期 しこりの大きさに関係なく、遠隔転移(肝臓、肺、骨、脳など他の臓器への転移)を認める

 

Ⅰ期Ⅱ期は早期乳癌、Ⅲ期は局所進行乳癌、Ⅳ期は遠隔転移乳癌と言われています。

 

 乳がんはできる限り、0~Ⅱ期で発見し早期に治療につなげることが大切です。特に小さな早期乳がんでは自覚症状がほとんどない場合もあります。

 定期的な乳がん検診を受けること、いつもと違う乳房の違和感があったり、検診で異常を指摘された場合は早めに専門医の診察を受けることをおすすめいたします。

乳がんは早期に発見して治療できれば、予後がかなり良い病気です。

定期検診を受けて、乳房になにか気になる症状がある時は、早めに診察を受けることをお勧めします。

 

 

山上 良院長
記事監修
院長 山上 良

大阪市立大学医学部卒業。
日本外科学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、乳がん検診マンモグラフィ読影認定医、乳がん検診超音波検査実施・判定医、日本癌治療認定医機構癌治療認定医。

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