WEB予約
MENU

院長コラム

Column

乳がんを知ろう(その⑤) 手術療法など


  乳がんと診断されて手術を行うことになる前には、乳がんの大きさ、個数、しこりを形成しない乳癌の広がり、リンパ節転移の状況などをMRI検査等を使用して確認します。

 その結果や、術前化学療法後の状況を見てから決定していきます。

 

  手術の方法には大きく分けて、乳房部分切除術(乳房温存術)と乳房切除術があります。

  乳がんが1か所に存在し、その大きさが小さい場合には乳房部分切除術が適応となります。

  乳房部分切除術(乳房温存術)は、乳がんの取り残しが無いように、乳がん組織を正常な組織で囲まれるように切除します。乳がんが存在する部位や大きさによっては、傷が目立たないようなところで皮膚切開を行うこともあります。

  乳房部分切除術は乳房を部分的に切除します。乳房を残すことはできますが、手術で一部を切除するので、切除範囲や大きさによっては、乳房に目立った変形が生じることもあります。

 乳房部分切除術を行った場合には、術後に放射線療法を行うことが一般的です。

 

 乳房切除術は、乳がんの存在する乳房を切除する術式です。比較的大きな乳がん、多発性の乳がん、部分切除では変形がかなり強くなる場合などが適応となることが多いです。多くは乳頭も含めて切除を行いますが、

乳がんの広がり具合や乳房再建術との兼ね合いで、乳頭を温存して全摘術を行うこともあります。

  乳房再建術:人工乳房や自家組織(自己の筋肉や脂肪)を使って、乳房を再建する方法です。

  乳腺全摘術と同時に再建する一期的再建や、全摘術後に行う二期的再建があります。

  乳房部分切除で変形が強い場合も行うことがあります。

 

 センチネルリンパ節生検:広範囲な腋窩郭清を回避するために、センチネルリンパ節生検という術式があります。これは、乳腺に色素などを術前に注射し、乳腺内のリンパ管から最初に色素が流れついた腋窩のリンパ節を摘出する方法です。このリンパ節に転移がなければ、95%の確率でその先のリンパ節への転移がないとされていますので腋窩郭清が省略できます。

 腋窩郭清術:腋窩リンパ節への転移が術前に確認された場合などにに行われます。

 一口に乳癌の手術と言っても、乳がんの進行状況や術前治療後の状態などによって、様々な手術パターンが

あります。術式に関しては、手術担当の医師とよく相談して、手術を受けられる方にメリットがあり、納得できる方法を選択されることをおすすめいたします。

「乳がんを知ろう」シリーズの連続掲載はひとまず終了です。

  またの機会に、今回触れていないようなこと(乳がんのリスクとはどのようなものか? 好発年齢はどうなのか、食事など生活習慣との関係はどうなのか、などなど)に関しては、おいおいはお話して行こうと思います

山上 良院長
記事監修
院長 山上 良

大阪市立大学医学部卒業。
日本外科学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、乳がん検診マンモグラフィ読影認定医、乳がん検診超音波検査実施・判定医、日本癌治療認定医機構癌治療認定医。

詳しい医師紹介を見る