院長コラム
Column
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まだまだ暑い日が続きますが、体調に気をつけて乗り切っていきましょう。
今回は、開業時から当院で行った「細胞診」検査と「針生検」検査に関して、乳癌学会での発表内容を基に書いてみようと思います。
※細胞診と針生検は、https://tsurumi-hc.com/medical/medical16.html のページもご参照ください。
2020年8月の開業時から、2022年4月末日までの期間で検討しました。
細胞診は 336例に実施しました。 細胞診は採血検査を行う時のような細い針を使用して実施します。
初診患者に対する細胞診実施比率:10.1%(336/3328例)
細胞診の評価はclass分類といって、1~5までの数字で5段階評価を行います。
1・2は良性 3は疑陽性 4は悪性疑い 5は悪性となります。
細胞診検査ではclass3以上が精査対象となることが多いです。
実施した細胞診の結果がclass3以上であった症例:75例
(全細胞診に対する比率:22.3% 75/336例)
・class3a:37例 うち乳癌が3例ありました(浸潤癌:2例 非浸潤癌:1例)
・class 3b:30例 うち乳癌が8例(浸潤癌:5例 非浸潤癌:3例)
・class 5:8例 乳癌7例、腋窩リンパ節転移の確認できた原発不明乳癌1例
class4の症例はありませんでした。Class5は悪性確定ですが、
疑陽性であるclass3の67例のうち11例に乳癌が含まれていました。(乳癌の比率:11/67 16.4%)
2020年8月から2022年4月末日までに201例に針生検を実施しました。
局所麻酔を行い、バードマグナムという装置で、ボールペンの芯ぐらいの針を使って行います。
・悪性症例は50.7% (102/201例)
浸潤癌は、201例中100例で、針生検全症例中49.8%でした
非浸潤癌は201例中10例で、針生検全症例中0.5%でした。
・良性症例は49.3% (99/201例) でした。
画像診断と針生検の病理結果の一致率ですが、画像診断で乳癌と診断した場合が156例でした。
そのうち、乳癌であったのが、101例でしたから、画像診断との一致率は、64.5%です。
画像診断では良性が予測されたのに、最終的な病理診断が乳癌であった症例は1例ありました。
病理診断が、乳癌であった101症例のうち、事前に画像診断で乳癌が予測された症例は100例であり、
病理結果から検討すると、画像と病理検査結果は99%の一致率となりました。
最終の病理診断が良性であった症例は100例ありましたが、事前に画像診断で乳癌が予測された症例が51例ありました。
このように画像診断は、最終的な病理診断と異なることもあります。
当院では、画像診断を判断し、細胞診や針生検を適宜実施して、より正確な診断に至るような診察を
今後も心がけていきます。
以上が、2020年開業時からの細胞診・針生検の結果報告です。
大阪市立大学医学部卒業。
日本外科学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、乳がん検診マンモグラフィ読影認定医、乳がん検診超音波検査実施・判定医、日本癌治療認定医機構癌治療認定医。