院長コラム
Column
Column
横浜市乳がん検診を受けた場合、マンモグラフィの判定の際に日本乳がん検診精度管理中央機構(精中機構)では、判定結果をカテゴリーに分類して精査不要か要精密検査か判定しています。
カテゴリー分類の内訳は以下に記載の通りです。
「カテゴリー分類」
カテゴリー1:異常なし
カテゴリー2:良性病変のみ
カテゴリー3:がんを否定できず(がんの確率は2〜10%)
カテゴリー4:がん疑い(がんの確率は30〜50%)
カテゴリー5:マンモグラフィ上はがん(がんの確率はほぼ100%)
乳がんが疑われるのはカテゴリー3以上です。カテゴリー3以上の判定を受けた方は、「精密検査」を行う必要があります。
「乳房の構成」に関してお話します。
乳房は乳腺組織、脂肪組織、皮膚、乳腺内の血管などから構成されています。乳房に占める乳腺組織の割合を、マンモグラフィでは「乳腺濃度」と呼んでいます。
マンモグラフィのレントゲン(X線)は、乳腺組織は通過しにくく、脂肪組織は通過しやすいのが特徴です。レントゲン写真では、X線が通過しやすい組織は黒っぽく、通過しにくい組織は白っぽく映ります。乳腺組織は、脂肪組織より密度が高いのでX線が通過しにくいので、白っぽく映ります。
マンモグラフィ写真で、白い部分が多いと乳腺濃度が高いということになり、黒い部分が多いと乳腺濃度が低いということになります。なお、乳腺濃度はマンモグラフィのみで使用される用語です。
「乳房の構成」
マンモグラフィでは、乳腺濃度を乳房の構成として評価し、4つに分類します。
乳房の構成は、マンモグラフィで腫瘤や石灰化などの異常が確認しやすいかどうかの目安になります。分類は以下の4通りです。
高濃度乳房は、③不均一高濃度と④極めて高濃度を併せたものと定義されています。これらの乳房では腫瘤も白く描出されるので、高濃度乳腺のように全体が白っぽい乳腺では、腫瘍の描出が
困難なこともあります。腫瘤の存在が疑われるが、マンモグラフィで確認出来ない時は超音波検査など他の画像検査を併用してさらに調べることもあります。
また、高濃度乳腺は乳がんの発症率が少し上昇することも指摘されております。
次回は、当院での取り組みなどをお話いたします。
大阪市立大学医学部卒業。
日本外科学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、乳がん検診マンモグラフィ読影認定医、乳がん検診超音波検査実施・判定医、日本癌治療認定医機構癌治療認定医。