院長コラム
Column
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日常の生活習慣がどのくらい「乳がん」の発症リスクと関係しているか、気になる
ところですよね。
今回は、運動や肥満など、生活習慣と関係のありそうな事と、乳がんのリスクを
見ていきましょう。
余暇の運動がどれくらい、「乳がん」の発症リスクを下げるのでしょうか。体を動かすことは、良いことだとわかっていても、実感がわきにくいですね。
2007年には、週に1時間程度ジョギングをするぐらいの運動を行った
女性と、運動をしていない女性とを比較した検討があります。
閉経前の女性では運動により乳がん発症が7%程度の減少を認めましたが、有意差は無いとされています。一方、閉経後の女性では、運動をしている人たちの方が、していない人たちより、13%リスクが軽減したと報告されています。
閉経後の女性では運動は乳がんのリスクを下げることはほぼ確実とされています。
肥満が健康に悪影響を与えるとこは、多くの科学的根拠から示されています。また、肥満は女性のあらゆる死亡リスクを増加させると言われています。
BMI(body mass index)と乳がん発症のリスクを検討した報告があるのでお話をします。
日本人女性を対象とした研究では、BMIが30以上の方でホルモン受容体陽性乳癌の発症リスクは約2.4倍で、閉経後の場合はさらに差が顕著になり、約6.2倍となると報告されています。
また別の研究では、閉経後の肥満はBMIが24以上、29未満で、リスク約1.5倍増加、約29以上では2.1倍になるとされています。
閉経前の女性に関しても、BMIに比例して直線的に乳癌発症リスクが増大するといわれています。
タバコの煙には約60種類の発癌物質が含まれており、肺癌をはじめとする多くの 癌に対して「発癌性あり」と評価さています。乳がんに対する喫煙の影響を研究した報告では、喫煙期間が30年以上のグループでは非喫煙者に対して6%増加、pack-years〔(1日の喫煙本数×喫煙年数)/20〕が、20以上の
グループで11%の乳がん発症が増加することが報告されています。
非喫煙者に対する喫煙者の相対リスクが9%増加するとの報告もあります。また受動喫煙により乳癌発症リスクが増加する可能性も報告されています。
その他には、夜間勤務も乳癌発症リスクを増加させる可能性が示されています。
乳癌の発症リスクは、日常の生活習慣などと関係あることも多いです。
皆様の日々の生活習慣を見つめなおすキッカケとなれば幸いです。
大阪市立大学医学部卒業。
日本外科学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、乳がん検診マンモグラフィ読影認定医、乳がん検診超音波検査実施・判定医、日本癌治療認定医機構癌治療認定医。