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院長コラム

Column

第1回「けんしん(健診・検診)」


今年はコロナ禍で大変な1年でしたね。皆様は、今年乳がん検診などは受けられましたか?
また、健診や検診だけ受けて、何か引っかかっているようだけど、よくわからないし、怖いと再診や精密検査を受けずに、そのままにしていないでしょうか?
そこで、第1回目は「けんしん(健診・検診)」に関して、書いてみようと思います。

国立がん研究センターの統計によると、2020年の新規に乳癌を発症する方が、92,300名と予測されています。また、2017年の統計では日本人女性が生涯で乳がんに罹患する確率は、10.6%(9人に1人)となっております。
コロナ禍でついつい、検診が後回しになりがちかと思いますが、乳がんの罹患率は、上昇しております。早期発見と早期治療が重要な病気ですので、早期発見のために「乳がん検診」を受けることはとても大切です。定期的な検診の受診を強くおすすめします。健診で再診や要精密検査となった方の専門医への早めの受診もあわせておすすめします。

さて、「けんしん」には「健診」と「検診」があります。発音が同じなので紛らわしいですね。この2つには違いがあります。

「健診」とは健康診断の略であり、健康を診断することをいいます。会社で行う定期健診や、特定健診(特定健康診査)などがそれにあたります。
肥満や血圧の状態など、体の全体的なチェックを行い、自身の健康状態を確認し、病気を予防することを目的としています。

「検診」とは、特定の臓器を検査し、病気の早期発見と早期治療を目的とした検査となります。「がん検診」のように特定の病気を発見することを目的といています。
ですので、乳がんの早期発見を目的とした場合は「乳がん検診」といいます。
「乳がん検診」には、「対策型検診」と「任意型検診」があります。

「対策型検診」と「任意型検診」

「対策型検診」について 
★横浜市乳がん検診を積極的に活用しましょう!!

「対策型検診」は、がんの死亡率を下げることを目的として、公共政策として行うがん検診です。自治体が行うものがこれにあたります。
横浜市の乳がん検診もこれにあたります。横浜市の乳がん検診など自治体の乳がん検診は、マンモグラフィ検診となりますが、精度の管理がしっかりしており、判定の精度が高いのが特徴です。
1次読影は受診施設の医師が行いますが、2次読影は横浜市の医師会にて、「日本乳がん検診精度管理中央機構」が認定した判定資格を持った医師が行います。その判定は私も2次読影に参加している者の一人です。
また、当院では横浜市乳がん検診と乳腺超音波検査も組み合わせて受診が可能です。
40歳以上で横浜市内にお住いの方は、横浜市の乳がん検診を積極的に活用することをおすすめします。

「任意型検診」について

「任意型検診」は、「対策型検診」以外のものが該当します。病気の早期発見・早期診察を目的とする任意の健康診断が該当します。人間ドックなどが該当します。
検診方法の選択、施設による精度管理などの問題がありますが、個々の受診者への対応が可能となるという利点もあります。

検診の結果について

「検診」、「健診」のどちらも健康を守るために大切なものですが、結果を詳しく確認し、その後の健康維持に役立てるのはもっと大切なことです。
注目しておきたい点ですが、横浜市の乳がん検診を例にすると二次読影後の総合判定と乳腺の構成に注目しましょう。

総合判定は、1.精検不要 2.要精密検査 で通知されます。

1.精検不要は、マンモグラフィカテゴリー分類の「カテゴリー1:異常なし」と「カテゴリー2:良性」です。

2.要精密検査は「カテゴリー3:良性、しかし悪性を否定できず」「カテゴリー4:悪性疑い」「カテゴリー5:悪性」の3つの判定のどれかになりますが、検診では要精密検査の大部分が「カテゴリー3」になります。「カテゴリー3」は悪性の可能性もありますので、必ず精密検査を受けるようにしてください。もちろん、カテゴリー4・カテゴリー5は要精密検査です。

乳房の構成についてですが、「脂肪性、乳腺散在、不均一高濃度、極めて高濃度」の4分類があります。不均一高濃度と極めて高濃度の乳腺では、マンモグラフィでは読影しにくい乳がんが隠れていることがあります。しこりや痛みなど何か症状がある場合は超音波検査を受けることをおすすめいたします。無症状でも心配な方は超音波検査も受けることをおすすめします。

「任意型検診」の判定

こちらも検診だけ受けて安心するのは良くないです。必ず、検診結果を確認してその指示にしたがってください。判定表などが記載されている場合もあります。
例として以下のような評価もあります。

A判定は異常なし、B判定は軽度の変化あり、経過観察推奨
C判定は再検査ないしは経過観察
D判定は要精密検査など

また、A判定:異常なし、B判定:軽度異常、G判定:経過観察
C判定:要精密検査 などの例があり、施設によって表記が異なることがあるので、評価内容をよく確認してください。

判定結果で悩んだら…

何通りか私の考えを示します。

①前年度はA判定であったが、今年はB判定以上の評価であった。
→変化が出てきているので、対面で詳しい説明がない場合は専門医を受診してもらう方が安全です。

②毎年B判定が、今年はC以上の判定
→判定結果が悪化しているので専門医の受診をおすすめします。いずれにせよ、前年度より評価が悪化したら迷わず専門医の診察を受けてくださる方がいいと考えます。

③判定は正常、または悪くない、毎年の判定と変化ないが、心配がある時は、不安を抱えたまま、過ごすのは良くないと考えています。確実な診断のためにも受診をおすすめします。

④判定結果が前回より1ランクでも上昇したら、再検査や専門医の検査を受けることをおすすめします。

当院での健診・検診の流れ

健診の流れ

①横浜市検診の場合

検査当日に画像所見を実際に見てもらい受診された方に、1次判定の説明を行います。
当日、所見が無くても、最終判定(横浜市の検診では、2次判定は医師会で行います)で結果が変わることもあります。最終判定は希望に応じて対面または郵送でお伝えいたします。当院では横浜市検診の結果用紙と当院独自の結果用紙をお渡ししております。

次に、オプションで超音波検査を受けていた場合。
超音波で所見がある場合は、その所見に応じて、精密検査や次回の診察などの対応を決めていきます。

★横浜市の乳がん検診は、マンモグラフィ読影に関して高い精度管理がされております。安心して、この制度を利用することをおすすめいたします。

②一般健診の場合

当院では、受診された方々には画像検査は、その画像をお見せして結果を説明しております。ですので、最終結果だけが用紙だけで通知されることはありません。

図で示しましたが、人間ドックで健診を受けて所見がある場合(要精査や経過観察など)には、その後、乳腺外科や乳腺専門医のクリニックを受診し、再判定の流れとなるように、検査結果によって、専門医を再受診となることが多くみられます。
当クリニックでは、検診を受けていただいた場合は、検診イコール専門医による判定となるので、その日に次の方針を決めることができますので、受診された皆様の再受診の負担がなくなります。
さらに当クリニックでは所見があった場合は、保険適応に切り替えることもできます。
また、検査結果に応じて、次の精密検査に進んだり、次回の経過観察の日程も説明することができます。

山上 良院長
記事監修
院長 山上 良

大阪市立大学医学部卒業。
日本外科学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、乳がん検診マンモグラフィ読影認定医、乳がん検診超音波検査実施・判定医、日本癌治療認定医機構癌治療認定医。

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