院長コラム
Column
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近年、乳がんの患者さんは増えております。乳がんは、現在日本では9人に1人がかかる病気とされています。また、乳がんはご家庭や、社会で活躍する世代の女性に最も多いと言われています。
しかし、近年、乳がんは早期発見・診断により、適切な治療を速やかに受けることで、その後も元気に過ごせる可能性が高くなってきています。
乳がんとはどんな病気なのか、皆様に知ってもらいたいので、このたびコラムを書きました。
乳がんを知ろう(その①)では、乳がんの発生や分類についてお話していきます。
【乳がんはどこで発生する?】
乳がんが、乳汁を運ぶ乳管や、乳腺葉で発生します。その後、乳管や腺葉の外へ増殖し、血管やリンパ管に
侵入しその流れにのって、他の臓器にたどり着き転移を生じます。図1には乳腺の内部構造を示しています。
図1のなかの乳管や乳腺葉の部分で乳がんは発生します。
では、乳がんにはどんな種類があるでしょうか。
乳がんには大きく分けて、他の臓器に転移するタイプと転移しないタイプがあります。
他の臓器に転移するタイプの乳がんを「浸潤癌」、転移せずに乳管や小葉など乳房内部だけで広がるタイプを「非浸潤癌」といいます。(図2参照)
図2
非浸潤癌は乳管や腺葉内で成長するもので、血管やリンパ管に侵入しないので転移を生じません。
浸潤癌は血管やリンパ管に侵入するので、血液やリンパの流れにのって、リンパ節や乳腺以外の臓器に転移を生じます。ほとんどの患者さんは「浸潤癌」で診断されます。
このように乳がんの性質により乳がんの進行具合は変わります。
次回はもう少し詳しい分類と、病期(ステージ)分類についてお話します。
大阪市立大学医学部卒業。
日本外科学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、乳がん検診マンモグラフィ読影認定医、乳がん検診超音波検査実施・判定医、日本癌治療認定医機構癌治療認定医。